矢野裕紀子のプロフィール

音楽との歩み

<クラシック音楽との出逢い>
 
 京都府木津川市にある実家に、自分が生まれる前から、アップライト・ピアノが置いてあり、母がそれを弾いているのを見て聴いて育ちました。或るとき、近所のお友達がピアノを習い始めたのが羨ましくて、自分も習いたいと両親にお願いし、5歳になる頃、近所のピアノの先生にピアノを習い始めました。
 
 しかしその後直ぐに、母が知人から或る先生を勧められ、スズキ・メソードのピアノの先生のところへ通うようになりました。以後、
20歳くらいまで、高校受験の為に1年お休みした以外は毎週、レッスンに通い続けました。
 
 私の音楽的基礎は、この15年の間に築かれました。
 
<声楽との出逢い>
 
 ピアノの先生が『音楽を学ぶ者は、歌うことを大切にするべき』
と言うポリシーを持っていたため、ピアノの発表会では、門下生皆で合唱をやったり、先生に選ばれて独唱を披露する門下生も居ました。或る年のピアノの発表会で、自分より一つ、二つ年上の先輩たちが、イタリア古典歌曲を歌っているのを聞いて、なんていい曲ばかりなのだろうと感動しました。高校1年の夏だったと思います。
 
 丁度その頃、高校の音楽の先生が、私が休み時間に音楽室のピアノを弾くのを聞いて
『あんたは、音大進学に興味はないの?
 あんたは性格がおおらかで、体格が良いから、声楽科を目指せば良いのに』
と言ったのを真に受け、『声楽を学びたい』とピアノの先生に直ぐ申し出て、声楽の先生を紹介して貰い、毎週、声楽のレッスンに通うようになりました。でも、小さい頃からシンガーソングライターになるのが夢だったので、声楽科へ進学を希望するのは、歌のうまいシンガーソングライターになる為だと決めていました。
 
<オペラとの出逢い>
 
 同志社女子大学の音楽学科に入学したものの、その頃の私は、幼い頃から大好きだった歌謡曲を歌う”シンガーソングライター”になりたいと思っていて、大学での勉強は全て、総合的に、その為のものなのだと思おうとしていました。しかし歌の練習をあまりにもしない為に、毎週の大学での声楽のレッスンが苦痛で仕方ない始末で、1 年生の前期試験が終わって、友達たちと実技の成績表を見せ合ったら、自分は誰よりも点数が低くて、自業自得だけれど、がっかりする有様でした。
 
 そんな大学一年の夏休みの或る日、学食で同級生と『日本のオペラ歌手を知っているか』と言う話をしていたら、友人が私に『中丸三千絵と言う歌手の歌うオペラ『夕鶴』のビデオを持っているから、貸してあげようか?』と言いました。興味は全くなかったのですが、何となく断れず、後日友達がビデオを持ってきてくれたので、感想を言う為に、借りたビデオを早送りで見たら、そのビデオには、オペラ『夕鶴』の後に、当時自分の大好きだったテレビ番組『関口宏の知ってるつもり!?』の、マリア・カラス編が録画されてありました。
 
 私はそこで早送りをやめて番組に深く見入りました。
番組で見たマリア・カラスが歌う『トスカ』のアリア”歌に生き、恋に生き”に激しく感動し、「私もこれを歌いたい!」と強く思い、本当にそれを卒業試験で歌って卒業しました。

 それから、おおよそ20年もの時間が過ぎました。道は険しくとも、どんなに辛くても、今でもまだ『オペラ』『美しい声』『こころの琴線に触れる歌』に強く憧れたままでいられるのは、このときの感動が如何に大きなものだったかと言うことだと思っています。
 
<矢野裕紀子 プロフィール>
 
1976年7月9日生まれ、京都府木津川市出身。
同志社女子大学学芸学部音楽学科声楽コース卒業、
同大学音楽学会《頌啓会》特別専修生過程修了。
第23期(公財)日本オペラ振興会オペラ歌手育成部修了。
 
2004年9月~2009年12月、イタリアはミラノへ留学。
声楽をパウラ・スカレーラ氏、ジョルジョ・ロールミ氏に、オペラ歌唱法をヴィンチェンツォ・スカレーラ氏に師事する。
 
帰国後、2010年10月にオペラ『イル・トロヴァトーレ』のヒロイン・レオノーラ役でデビュー。デビュー後、徐々にソプラノ・ドランマーティコからメゾ・ソプラノへ転向して行く。
以後オペラでは『カヴァッレリーア・ルスティカーナ』サントゥッツァ役、『サンドリヨン』アルティエール夫人役、『アイーダ』アムネリス役等を歌う。
 
2013年5月より『環る想いが響く夜~めぐるおもいがひびくよる』
と題した自主企画コンサートを、ピアニスト・武田朋子氏、クラリネット奏者・松田萌氏らと共に開催。
 
第5回スキオ国際声楽コンクール入選(イタリア)、
第6回パドヴァ市国際音楽コンクール声楽部門第4位(イタリア)、
第27回コンセールヴィヴァン新人オーディションで優秀賞受賞。
2011年KOSMA音楽コンクール声楽部門で最優秀大阪府知事賞受賞。
第22回(有)及川音楽事務所新人オーディションにて最優秀新人賞受賞。
2014年 夢の島亜熱帯植物館主催・夢熱コンサート優秀演奏者賞受賞。
日本では今までに、坂口卓也、下原千恵子、竹田佳世、名所君子、早河明子の各氏に師事(敬称略、五十音順)。
藤原歌劇団団員、(有)及川音楽事務所所属。